- 組織の中の”ゴースト”
- 2012.08.04
対話のワークショップをやっている際に、特に私が意識的していることは、その組織が抱えているタブーを言語化することです。タブーとは、誰もが潜在的にわかっているけれど、表立って言葉にはされていないことです。本音の対話を通じて、その組織独自のタブーがうまく表現されると、対話の場はシーンと静寂に包まれるか、爆笑が生まれます。そして、場が反転し、前向きな意見が創出されるようになる。
多くのケースではそうなるのですが、なかなかそういう展開にならない場合もあります。タブーは言語化されても、スッキリしない。何か徒労感が残ったままなのです。そうした典型的なケースは、組織に「影の実力者」がいる場合です。正規の指示命令ルートとは別に、影響力のある人間がいる。組織的な課題が整理できた。課題の自分ゴト化もした。上司からの正式な応援も確保した。それでもすっきりしない。「影の実力者」の存在が大き過ぎて、「どうぜやっても無駄だろう」という徒労感から抜けきれないのです。誰もが、その場にはいない「影の実力者」の“影”と格闘しているのです。それが組織の“ゴースト”です。
最近行なったワークショップも、そのような場でした。途中で、“ゴースト”の存在に気づいて対処を始めたのですが、時間切れに終わってしまいました。“ゴースト”をしっかり自分たちの言葉で言語化して、それを個人攻撃に終わらせるのではなく、その“ゴースト”が果たしている(果たしてくれている)役割までしっかり認識できれば、実際の“ゴースト”へのアプローチ方法までたどり着けたはずのですが。今回は時間切れに終わってしまい、残念です。
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