- 人は変わるのか、変えるのか?:自動詞で考える
- 2014.03.30
おかげ様で、今年度も無事に終了しました。多くの組織の現場にお招きいただき、ありがとうございました。今年度は特に、役員合宿から新人OJTまで、数社のグローバル企業の各層に横断的に関わらせていただくことで、組織の風土・文化が持つ潜在的な影響力を改めて考える機会をいただきました。
最後のワークショップで、事務局のおひとりから、「加藤さん、研修で人を変えることはできるのですかね?」と、質問をいただきました。根本的な問いですね。まず私は、「人を変えることはできないと思う」とお答えしました。「ただ、『人が変わる』ことは支援できる」と付け加えました。誰もが成長の種は持っており、周りはその発芽条件を整えることはできるが、発芽したいと思うかどうかは、本人次第、正確には本人に訪れるタイミング次第。そんな頭の中のイメージです。
人材育成・人材開発の基本は、自動詞で考える。それが基本中の基本だと思います。人を変えようとするのは、他動詞系の発想。人が変わるのを支援するのが、自動詞の発想です。人材開発の世界にいると、つい新しい手法を取り入れて、どうしても「変えよう」とする発想になりがちです。新しいやり方を試したい人はいっぱいいるが、それを受けたいと思う人が少ない。これは冗談のようですが、企業研修の実態でしょう。そして、育成担当者が変わると、それまでのやり方が否定され、また新しいやり方が導入される。その繰り返しです。どんな手法でも構わないのですが、一定レベル以上の人材育成を考える場合には、人を変えようとする前に、「人が変わる」、その諸条件を調える発想、自動詞系の発想を忘れたくないものです。他動詞系の発想は、必ず心理的な「抵抗」を生み、かえって余計な手間がかかる。ややこしい話になる。それが私の今年度の実感です。
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