- 消費者モードから生産者モードへの転換をデザインする
- 2012.04.26
新入社員の受け入れ作業もひと段落し、今年度も研修内容を詳細にデザインする時期になってきました。事務局のみなさんと議論をする際に一番注意しているのは、「いかに受講生を消費者モードから生産者モードに転換する瞬間をデザインするか?」 この一点です。
消費者モードというのは、よく言われる「受身での研修モード」ということではありますが、実はもう少し根の深い問題があると思います。どうも、各世代に、ある一定の割合で、教育をサービスと捉えている人たちがいるようです。「教育サービスの消費者」として、ふるまう人たちが必ずいるのです。(”今日は何してくれるの~?”というスタンスの人たちです) 長年の学校教育、さらには塾・予備校での受験教育を通じて、教育とはサービスの一環だ、というある種の刷り込みがあるせいなのかもしれません。
対話型のワークショップ・スタイルの研修では、消費者モードであることは許されません。事前に正解が用意され、「教える人-教えられる人」の役割が固定されているダウンロード型の知識・スキル研修とは異なるのです。誰もが、対話の場の一部を担っている。場の構成要素です。一方的な消費者ではなく、生産者でもある。その自覚と責任感が、対話の質に、さらには学びの質に確実に影響します。「誰もがその場で”学びあっている”」という事実に気づけば、対話の広がりと深さが劇的に変化します。
そもそも、この混迷の時代に、一方的に教えることができる人などいるのでしょうか。自身を内省し、語り合うことで、自分たちにあった解を見出していく。それが、この混迷の時代に残された唯一の希望の道であるように思うのです。例えば、リーダーシップを経営理論やケースで勉強させよう、勉強しよう、というニーズも確かにありますが、まず自分の消費者モードが、対話する相手や場全体にどんな影響を与えているのか。それを自覚できる目線を養うことこそが、今、求められているリーダーシップの第一歩であるように思うのです。被災地の現場では、何かを命令する人よりも、今、その場で必要なことに自ら動くひとが、活動の渦の中心を担っていました。平時と異なり、非常時のリーダーシップは、机上では教えられないもの、人と人との生身の関係の中で実際に学び取るしかないと思うのです。
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