- 新人OJT論:教える側は歩み寄れるのか?
- 2012.04.30
今年の研究テーマのひとつに、新人育成論、具体的には新人のOJTがあります。3月末まで学生だった人が、新しい社会に入ってくる過程で、どうやって新しい環境に適合し、自分の役割を見出していくのか。どんな通過儀礼を設定すると、新人本人にとって、組織にとってもよいのか。具体的な組織の現場で、新人のインタビューを通じて、育てる人(トレーナー)のインタビュー・コンサルティングを通じて、仮説ストーリーを模索しています。
新人のOJTに関する話では、どうしても新人側の質の変化を求める論調が支配的です。「ゆとり世代」という、世代論でひと括りにしてしまったり、「俺の若い頃には・・・」と、持論を持ち出してきたり。変えてはいけないこと、伝承しなければいけないことは、妥協することなく、伝えていく姿勢は不可欠ですが、その際、年長者、特に40代以降の世代は、「自分たちの時代とは違って、圧倒的に人が育ちにくい組織になっている」という、組織の環境認識は不可欠だと思います。このBlogで何度も書いてきたことなのですが、「組織の中で、新人が育つネタが、かなり少なくなってきている」という実感があります。「人は(勝手に)育つ」ものではなく、「育てるものなのだ」という基本認識です。
そういう意味では、入ってくる人材の質と環境を前提に、育てる側には、「歩み寄る」姿勢が必要なように思うのです。それは、ある種の「謙虚さ」と言ってもいい。自分たちの成功の方程式だけでは、これからの組織は回しきれない、という覚悟です。あと5年もすれば、ある特徴を有する世代が組織の中で一定比率に達すると、組織は大きく変質を余儀なくされることでしょう。その前に、異質の新人の参入を受容を契機にして、既存の組織の文化、価値観、制度を見直し、換骨奪胎してしまう、脱構築してしまうような動きを作り出したいものです。「育てる側」と「育てられる側」が、世代論の不毛な議論を越えて、お互いが歩み寄れるような場を創り出していきたいのです。
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