- 合併統合: 出自か社風か
- 2012.06.13
今年度も、いよいよピークシーズン前半が始まりました。対話のワークショップ、スキルトレーニング、研修コンサルティングと、入り乱れて進行しています。今年度の仕事の中で、特にチャレンジングなテーマがふたつあります。ひとつは某広告代理店の新人OJTのプログラム開発、もうひとつは某消費財メーカーの合併統合支援のワークショップです。
某消費財メーカーは、出自が同じ消費財メーカー同士が合併統合して生まれた巨大メーカーです。両社の母体は戦前に設立され、戦後はそれぞれ扱っている商品が違う中で、独自に発展してきました。合併統合後は、クロス・マーケティングできる体制を目指し、営業担当が異なる商品を売れる仕組みを作り出そうと試行錯誤を始めています。私が担当するワークショップは、ある事業本部を対象に、出身母体が異なる中間管理職(各10名)を集めて、行われました。
面白いものです。これまでの合併統合支援では、役割を越えて、自分を語りなおす対話を行うと、1日目の夕方にでもなれば、あの共通感覚が浮上してくるのですが、今回はそれが起きない。むしろ違いの方が明確になってくるのです。扱っている商品が違うために、組織の価値観が根本的に違うのです。例えば、「商品の安全性か、面白さか、どちらを優先するのか?」というような違いです。そういえば、これまで私が携わってきた合併統合支援は、同一業界での合併統合でした。会社が違っても、これまでライバル同士であっても、しょせん同じ商品を扱っていた。それゆえ、潜在意識レベルで、ベースとなっている価値観は、同じだったのでしょう。しかし、今回は違うのです。同じ資本系列ではありましたが、事実上、異業種の合併なのです。
途中から、共通感覚を追い求めることはあきらめ、お互いの違いを認め合う方向に、対話の場を変更しました。最終的には、企業組織の共通感覚というよりは、同じ中間管理職としての戸惑いが、共通感覚として浮上して、綺麗な車座が完成しましたが、これまでとはまったく異なる展開に、わたし自身が驚きました。合併統合は、出自よりも社風。今回の消費財メーカーは、通常よりも難易度の高い合併統合にチャレンジされていることを改めて実感しました。
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