お知らせ&実践研究レポート

風土改革プロジェクトを立ち上げる
2011.06.16

今週は、某社の風土改革プロジェクトの立ち上げを支援しています。

通常の業務改善とは異なり、風土改革は厄介です。難易度が高い。まず、プロジェクトメンバーにとって、なかなか具体的なゴールが見えないので、どうしても、精神論に陥りがちです。その結果、事務局とメンバーの壁が生まれ、さらにメンバーと一般社員の溝が大きくなってしまう。また、目に見えない風土を相手にするとわかっていても、メンバーはいつもの課題解決思考で取り組んでしまい、現状認識としての「ダメだし」からスタートして、一般論(「べき論」)の課題に整理され、妙に安易な解決策に終わってしまう。

この悪循環の抜けだすには、何かが必要です。私自身が一番拘っているのは、「その課題認識に、あなた自身は入っているのか?」という視点です。どこかに問題があるのではなく、実は自分自分も、その課題を構成しているという自覚です。つまり、プロジェクト・メンバーとして活動するのであれば、プロジェクトに自分なりの意味を見い出していなければ、空理空論となってしまう。それが、風土改革の落とし穴です。

どれだけ、メンバー間で議論尽くしても、自分の中で起きている感情プロセスと同じことが、実際にプロジェクトを社内展開しようとした時に、現場では起きるはず。これはプロジェクトの大前提です。入り口といってもいい。ならば、まず自分自分を実験材料にして、自分自身が自ら意味を見い出せるプロジェクトになっていなければ、誰も耳を傾けてくれるはずはありません。自分が動きたくない限り、誰も動くはずはないのです。しかし、どうも課題解決思考に頼ってしまうと、自分をどこかにおいてしまって、対象として、風土という問題の議論に流れてしまいがち。(同じことが、被災地支援でも、起きているように思います) 

「この問題意識に、自分自身も入っているのか?」 
「このプロジェクトに参加する、個人的な意味は、何なのか?」

自分を出発点に据えた問題解消指向は、「自利・利他」の思想です。実際、某社には、その思想が組織DNAの根底に流れています。なんといっても、研修所に居ても、気持がいい。知らない人にも、誰もが当たり前のように笑顔で挨拶をする風土があります。いまどき、珍しい光景です。彼らが既に潜在的にもっている側面を引き出し、言語化する。そんな支援を通じて、このプロジェクトをなんとかうまく立ち上がることを願っています。

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