お知らせ&実践研究レポート

共通言語が生まれる時
2011.07.07

合併統合後の融和推進プロジェクトや風土改革プロジェクト等の支援をさせていただいていると、「べき論」や「課題解決思考」だけでは、どうにもならない局面にぶつかることがよくあります。そんな時、私がとても意識している点は、「まず出発点をそろえる」ということです。

具体的には、「まず今、現状がどうなっているのか、自分はどう理解しているのか、メンバー自身が、現状の問題意識を語りなおす」というアプローチです。下手に問題の原因分析などをやり始めると、険悪なムードになったり、諦めの空気感にやられそうになってしまいます。そんな時こそ、議論ではなく、対話です。自分がどう現状を捉えるているか、それをわかったつもりになることなく、丁寧に相手に語りなおす。相手の人も、自分の意見や判断を保留して、耳を傾ける。たったそれだけで、面白い展開が生まれてくることがよくあります。

典型的なことは、お互いの語りが進む可能性で、その場にいる誰もが納得するような表現が、「ポン!」と生まれてくる瞬間があることです。「そうそう、そういう風になっている」「わかる、わかる、ウチもそうなんどよ」という感じです。それも、その会社や組織、独特の表現で。みんなが大きくうなづく瞬間です。その表現(現状認識、出発点ですね)が、メンバーの頭の中でリアルに共有されたとき、「確かにそうだよな、じゃあ、こんなこと、やってみないか?」「こういうやり方も、あるぜ」というような主体的な発想が、対話の場で動き出します。それは、決して論理的な思考で辿り着けない世界、偶発性(セレンディピティ)の世界と言ってもいいような気がしています。

このシンプルで、当たり前のようなアプローチは、いつか事例を整理して、みなさんにご紹介できればと思っています。

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